私たちに何を求めているか、
広い視野で考えよう。

桔梗ヶ原病院 院長 園原 和樹 

高齢者が多い現代。「病気の方を診る」というよりは、「目上の方を診る」というスタンスが求められます。そうした中で、患者さんやご家族が私たちに何を求めているか。入院時だけ見れば良いわけではありません。退院後や今後も含めて広い視野でともに考えて育てる環境を形成することが重要です。

入院リハビリテーション期間は180日と定められています。患者さんの長い長い人生の中で、たった180日は果たしてどれくらいの期間でしょうか。それだけしか知らなくて、患者さんの人生を診ていると言えるのでしょうか。やはりその先の、最終的には看取りまで寄り添うことができて一人前です。

私たちの病院は患者さんとともに歩みます。「他人事」だと思わず自分の家族だと思えば対応も変わってくるのではないでしょうか。家族にはより良い環境で過ごし、健康になってもらいたいと考えるものです。

そのためには、職員一人ひとりが広い視点を持つことが何よりも必要です。業務を教えてもらえるのは、せいぜい最初の2年間。3年目以降は患者さんから学ぶしかありません。特にリハビリテーションは数え切れないほどのアプローチがあり、どれが有効かは自分で模索するしかありません。患者さんにとってたくさんの選択肢を提示した上で納得していただくことが重要。そのようにして、地域全体まで視野を広げて考えられる職員を育てていければいいのかなと思います。

そのために看護、介護、リハビリテーションの各部署が組織横断的に連携できるような病院でありたいと考えます。
その結果、地域の方々に安心して来ていただける病院であり続けることが理想。そうした環境とするために、組織改編も済ませました。少しでも良くできる権限を現場に持たせ、より良い医療を患者さんに提供させるのが出発点。
職場環境が改善された結果として地域の医療と向き合う医療人がしっかり育って残ってくれることが、患者さんにとって何よりも良いこと。その上で新しい職員さんにたくさん来てほしいです。

一緒に頑張っていきたい方に、ぜひ来ていただきたいと考えています。

長い期間働いてもらえる
制度や支援を。

桔梗ヶ原病院 看護部長 西原 潤 

当院は高齢者に対応する地域の医療機関です。そのため、「高齢者を好きな人」が一番求めている人材。あとは人が好きなこと、人とコミュニケーションを取ることが好きな人に来ていただきたいと考えています。
もちろん、職務に当たる上でそう変わっていくケースもあります。患者さんに感謝の言葉をいただいたりすると、どんどん自分の仕事が好きになる場合もあります。そうやって、どんどん好きになってもらいたいですね。当院は145床と規模が小さいですが、小さいなりにスキルアップをしやすく専門性を究めていく方向性にも進みやすいです。

職員に求めたいマインドは、当たり前のことではありますが挨拶ができること。そして慢性期なので患者さんが食事を摂るときはベッドから起きてもらう、排泄のときはオムツじゃなくてトイレを利用してもらうとか。認知症の方には正確な知識を持って、認知症を患っている方としてしっかり対応できる――などを伝えられていければいいかなと思っています。

また当院は職員の子育てに力を入れ、妊娠、出産、子育てに継続性を持ってもらえるよう支援をしています。具体的には院内に託児所があるので保育園の入園までは預けてもらって、その後は公立保育園に預けていただくシステム。また小学校入学までの期間は時短勤務ができるので、長い期間を子育てに注力していただいて、お子さんが小学生になったら普通に働いていただけます。できるだけ長い期間働いてもらえるように支援しています。

女性の多い職場なので大事にしていかないといけない要素ですし、働き盛りの年齢層とも重なってくるので、そこをしっかりサポートしていくことを考えています。

人材育成については、基本的にはある程度マンツーマンで教えるよう年間プログラムを組み、同時に定期的な研修開催を通じてスキルアップを図っています。研修は概ね2〜3カ月に1回、新人が集まって集合研修を行う形式です。その後は個々の技能習得状況に合わせて個別の調整を加えながら、その人に応じた成長速度で階段を登っていってもらうような支援をしている。

当院は職員が優しいので働きやすいと思うし、働きがいがあると思っています。患者さんにお年寄りが多い中で、もちろん回復していく方もいるし、お看取りになる方もいます。その支援を一生懸命やるのがやりがいだと思います。それが慢性期医療の真髄ではないでしょうか。